鼈甲撥
鼈甲撥は赤海亀(タイマイ)の甲羅から作ります、今ではワシントン条約で捕獲が制限されております。 鼈甲撥には合わせ撥と一枚物がございます、鼈甲は熱にとても弱いです、例えば熱湯に漬けようものならば飴のように 柔らかくなってしまいます、この性質を利用して、適度な高熱と圧力でプレスすると鼈甲同士がくっつくのです、 その後、撥に加工したのが合せ撥です。 熟練した職人さんが作るので、剥がれることはありません、見た目もどこが合わせ目だか素人目には分かりません、 市販されている撥に明確な表示が無ければ、合わせ撥だか、一枚鼈甲だか分かりませんね、気をつけましょう。 同じ鼈甲でなぜこんなに価格が違うの?とよく聞かれます、紅木の木目と同じで、鼈甲の模様で価格が違うのです、 黄色く透明度の高い鼈甲は高額になります。 赤海亀の産地(育った場所)で模様は変わってきます、鼈甲柄で音色の違いはありません、 亀さんが成仏できるよう、黒っぽい鼈甲撥も使ってあげましょう。 (鼈甲撥の保管管理) 鼈甲は虫食いにあいます、保管時は入れ物の中や撥ケースにナフタリンなど防虫剤を入れておきましょう。 亀の甲羅は元々丸く湾曲しています、それを平坦にするのですから、当然元の湾曲した姿に戻ろうとします、 それを極力避けるために使うのが撥鞘です、撥鞘は先端の割れやキズ防止の役目もありますが、 湾曲防止の役目の方が重要です、使い終わったら必ず撥鞘を付けて保管しましょう。 糸を尖ったもので弾いた音と、指の腹で弾いた音では、尖ったもので弾いた方が明確に音が良いはずです、 ということは、撥先は出来るだけ丸めない方が良い音がする筈です、新品当初は糸切れしやすいですが、 我慢してそのまま使うことをお勧めいたします。 (手元の材質) 大別して樹脂製、木質製、水牛製、象牙製などがあります、樹脂製は型押しで作られるので最も一般的です、 夏場など手汗をかくと少々滑って握り難いという難点があります。 木質製は手汗を適度に吸収してくれるので、夏場や、手汗の多い人には向いていると思います、 いろんな木質材料があるので、好み合った木質を選び楽しめます。 水牛製は反りの激しい角を薄くスライスして積層しています、当然、元に戻ろうとするので積層部に 隙間が出来やすいです、接着剤を注入してプレスし研磨することで修理できます。 象牙製は最も高価ですが最も手に馴染みます、手汗変色し易いので使用後は豆に拭いて保管しましょう。 鼈甲部分だけの重量は10グラム程度です、手元も軽いので中に鉛を埋め込んで重さ調整をしています、 樹脂製の手元には鉛を含有したプラスチック原料でできている製品もございます、一般的には鉛の塊を 埋め込んで重さ調整しております。 津軽三味線 優宝へ戻る |